説明会

However, it was only interested. And, it remains in my mind.


朝起き、N、Tを送り出し、昨日の残りで昼食を済ませ、マンションの説明会に向かう。
説明は書類に目を通せば分かる内容ばかりであり、寝不足感から説明の声が耳障りに感じる。
小学生の本読みを想像させるような説明にウンザリする。


説明会終了後、オプションの家具などを見る。
奥さん不在のため、目ぼしいものを順に周り、判を押したように同じ説明が繰り返される。
部屋は乾燥して目が痛く、気を抜けば寝てしまいそうであったが、説明に対して意見を言う。
「この商品の特性はなんなんでしょうか?」
「仮にこうした場合はどうなのでしょうか?」
「万が一こういったケースが生じた場合はどのような対応をしていただけますか?」
「僕が気になるのは、これを購入した場合の利点なんです。」
「見た目の問題じゃないんです。高額商品を購入するということに対して 云々」


意地悪な質問もした。
「この商品を使用した場合、熱が遮断され夏の室温上昇を抑えることが出来ます」
販売の基本は商品の長所を前面に押し出すことであり、その基本を守る若い販売員に対し
「冬は日が当たっても暖かくならないということですね」
と言うと販売員は案の定困惑してしまった。
別に冬の時の機能性に不満があってこんなことを言ったのではなく、想定外のケースの質問に対し、どのような反応を示すのかに興味があっただけなのだ。


このような場では色々なことを試してみたくなる。
若手の反応、ベテランの反応、男性社員の反応、女性社員の反応、上司の反応。
こちらが弱気になった時、強気になった時の反応。
色々と参考になった。
そんなことをやっているうちに僕が最後の一人になった。気付けば5時間もこの会場に居たことになる。


家に帰り、夕食をとりながら、「トニー滝谷」を見る。
キュウリやレタスを齧った時の雑音で、時々音声が聞こえなくなってしまうほど静かな映画だった。そして、一言で言えばかなり気に入った。
大学生から中年を演じたイッセー尾形を改めて好きになり、宮沢りえの存在感の凄さを感じ、西島秀俊のナレーションに好感を持った。
市川準がこの原作を大事にしていることは明白であり、坂本龍一の音楽がそれに見事にはまっている。
村上春樹の作品の多くに共通するような喪失感が見事に映像化されていた。


笑えもしない、泣きもしない、感動もしない。
でも心に残る。
そんな作品である。