帰省

半年振りに実家に帰る。
半年前の滞在日数は1日、今回も1日である。
結婚式や法事などの時程度しか帰っていない。
もちろん今回も用事があっての帰省である。


いくつかの金融機関を周り、振込み、口座の閉鎖などの手続きを済ます。
口座の閉鎖を行ったり、刻々と変化を遂げている地元の風景を見ると、地元と自分との繋がりが少しずつ薄れていくのを感じる。
市町村合併前には考えられなかった大型SCが実家の近所に出来ており、車の量や売り場の充実さに驚く。
豆腐:28円
もやし:19円
低脂肪乳:105円
etc..
終日この値段ということらしい。
あまりに驚き値札を携帯で撮り、奥さんにメールを送っておく。


実家に戻り、ビデオカメラで撮った子供の映像を祖母に見せる。
もうしばらくの間は見れないであろう曾孫の映像を見て、祖母は大層嬉しそうであった。
早く直に会わせてあげたいものである。
犬Rの散歩に行こうとすると、普段あまり散歩をしてもらってないらしく、犬Rは祖母以上の喜び方で半年振りに会う主人に飛び蹴り。性格の悪さは誰に似たのか・・・
散歩の途中で墓地に寄り、親父殿や祖父に無事に生まれたことを報告。
墓石は勿論、喜んでくれもしなければ、笑いもしなかったが、まぁ仕方が無い。シンボリックなものなのだ。墓前に手を合わせることが重要であり、墓石に見返りを期待してはいけない。


夕食を済ませ、実家の友達にも報告をしたりして過ごす。
23時ほどから離れの二階で寝ていると、24時頃誰かが僕を起こそうとする。
目を開けると、知らない男が文字通り目の前に居た。
あまりの驚きで一気に目を覚ます。
見知らぬ男は兄貴の名前を呼んでいる。どうやら僕と兄貴を間違えているらしい。


「なんだ弟か、兄貴かと思った」


っておいっ!


他に何かあるだろう・・・っていうか、そもそもここに居ることが何か間違っているだろう・・・とも思ったが、めんどくさくなって抗議するのを止めた。
兄貴やその友達の非常識さにはもう慣れていたからである。
仕方なく兄貴に電話を掛け、見知らぬ男に携帯を渡す。
どうにも携帯をここに忘れて取りに来たらしい。
用事を済ませ、兄貴の友人が出て行った。
去り際に「起こして悪かったな」と言う程度には常識があるらしいが・・・。


こんな事が日常的に行われている実家や兄貴に対し、憤慨するものの、まぁ家を離れた人間としてはどうしようもないな と諦める。